ケミカルリーマンの生活を研究するブログ

化学メーカーで研究開発する筆者が日々の生活を考察していきます。

【化学】初めて日本化学会に参加してみた話。学会レビュー

どうもこんにちは。ケミカルリーマンの駄馬です。

 
先週、日本化学会、通称 日化に参加してきました。
高分子を専門とする私は高分子学会には毎年何かしら参加していますが、日本化学会は初めての参加です。
 
この記事はまだ学会のことをよく知らない学部生や修士の方、化学会には参加したことがなく気になっていた方に興味を持って読んで頂ければと思います。
また、化学会に参加している学生さんや先生方など中の人には、僭越ながら運営への提案として読んで頂ければと思います。
 
 
 

技術の根底を支える基礎研究が発表のメイン

日本化学会は基礎的な研究が発表の大部分を占めていました。
新しい反応や新しい触媒など、新しい〇〇を作る、あるいは〇〇を拡張する系の研究発表ですね。
こういった研究が日本の化学技術の根底を支えているのだろうと思います。
発表もいくつか聞きましたが、しっかりと研究を自分のものと捉えて堂々と発表していて、気持ちよく聞けました。
質疑の時間も議論がしっかり噛み合っていましたし、発表以外にも多くの実験が背景にあったんだろうと感じられ好印象でした。
研究生活の中で、指導教員から教育がしっかり適切にされているのでしょう。
有機合成を知らない人間が偉そうに何を言っているんだという話ですが!
 
一方、企業の研究開発職として見ると、今後当分は参加しなくてもいいかなと思いました。基礎研究であるほど新しい概念や材料はなかなか生まれないでしょうからね。
比較すると高分子学会は応用よりの発表が多いので、毎年新しい発表が多いです。
 

工業的な研究は少なめ。だからこそ価値が高い?

とは言いつつも、やっぱり応用寄り、工業寄りの発表もしっかりあります。フラーレン、有機半導体、導電性材料、などは工業化を意識したものがあり興味深かったです。
こういった材料は企業ではあまり新しいアプローチとか、基礎的な研究があまり多くないので、大学の研究は面白いですね。斬新です。
当然、企業と共同研究をしている or していた研究もありますが、まだまだ手がつけられていない部分もあるので共同研究狙いの企業研究者は学会での情報収集もいいですね。
 

学会と企業との繋がり

企業の発表はほとんどありませんでした。
セルロースファイバーなどの企画展では発表や展示があったかなというぐらいでしょうか。
企業はむしろ試薬メーカーや機器メーカーなどのブース出展がメインでしたね。
これらの出展では参加者の目を引くプレゼント懸賞が多く、ちょっとわくわくしました。
私はアンケートに答えてガラスメーカー ハリオのグラスをもらいました。
 
企業との結びつきとして考えると、高分子学会の方が、深く多様な結びつきを持っている印象です。
日本化学会で学んだ学生が、企業研究者として何らかの形でまた学会に帰ってくるというサイクルができると、より拡がりのある学会活動ができると想像します。
 

化学教育

研究室での教育が云々という話が上記ありましたが、高校での化学(科学)教育にも力を入れて取り組んでいるようですね。
化学教育の企画プログラムが組まれており、高校化学での実験教育に関する発表を聞けました。
私は化学教育に興味があり、小学生向けの科学実験教室に講師として参加したこともあります。
学校の授業での実験の話を聞くことはなかなかできないので貴重な機会だと思います。
ここで発表されていた先生は長年かなり実験に力を入れているようで、そんな先生に巡り合った生徒さんは幸せだろうなぁーと想いを馳せます。。
 

提案1:議論したい。時間をください…

ポスターが少なく、口頭発表がメインの学会ですが、その割に口頭発表の質疑が短く、深い議論ができないのが残念です。
また、ポスターの方も展示時間が短く、あまり深い議論や質問ができませんでした。
発表内容がしっかりした研究だけにもったいないなぁーと思います。
もっと議論のための時間や環境をつくってみてはいかがでしょう。
 

提案2:若手の企画をもっと

技術の深堀りにとても真摯に取り組んでいる印象で、口頭発表もポスター発表も聴講者が多く、みな真面目に聞いていました。
が、研究以外のことに触れる機会を作ってみるともっと有意義な学会になるはずです。
特に、学生や学位を取ったばかりの若手向けの企画があると良いと思います
たとえば学生同士の繋がりをもつ企画、進路を考える企画、企業とのコラボ企画とか。
ジャストアイデアではありますが、化学界や化学工業界が今後も現代的で多様な発展をしていくことを考えると、まだ古いままのように感じました。
特に若手がおとなしいという印象なので、それを手助けしてみてはいかがでしょう。
 

提案3:女性を受付にするのはやめましょう。

最後はおまけですが、一応。
女性をゼロにしろと言うつもりは全然ありませんよ。
今回は総合受付や発表会場の受付がほぼ全員女性でとても違和感を感じたので、それはやめませんかという話ですね〜
なんだかいろいろと学会上層部のおじさま方の考え方が目に浮かんだので、一応書いておきました。一応ね。
 
 
とりあえず全体像は以上です。
いやー普段行かない学会に顔を出すのはいいもんですね。とても勉強になります。
学会としても今後もますますの発展の伸び代があるように感じられ楽しみです。